建築小僧の建築ライフ

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川金HDがKYBのオイルダンパー偽装発覚に便乗して偽装申告!川金てどんな会社?何で偽装したの?安全性は?今後の対応は?

こんにちは、建築小僧(@kenchiku_kozou)です。

 

KYB(カヤバ)のオイルダンパーの試験データ偽装が発覚して、世間を揺るがすニュースとなっていますが、KYBの偽装発覚に便乗して自社の偽装を申告する会社が出てきました。

今回、偽装を申告したのは川金HD(製造は光陽精機、出荷は川金コアテック)という会社で、オイルダンパーのシェアでKYBに次ぐ、業界2位の会社です。

これで建材メーカーの不正は、旭化成建材の既製杭、東洋ゴムの積層ゴム、神戸製鉄のアルミ・銅強度、KYBのオイルダンパー、そして今回の川金HDで5社目となりました。

 

ところで、みなさんは川金HDという会社をどこまで知っていますか?今回の報道で初めて知ったと言う人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、川金HDとはどんな会社なのか、何をどうやって偽装したのか、なぜ偽装を行なったのか、今後の対応はどうするのか、について紹介したいと思います。

そもそも川金HDってどんな会社?

川金HDの前身は、川口金属工業という会社で、今ではグループ展開していますが元々は鋳物を作る会社です。その川口金属工業が、2008年にHD化して今のようにグループ展開するようになりました。今回、オイルダンパーの偽装を行なったのは、両社とも川金HD傘下の川金コアテック、光陽精機です。

特に川金コアテックでは、オイルダンパーの他にも免震構造の要である積層ゴムや制震補強のための鉄骨フレームなども販売しているのですが、オイルダンパーで偽装を行なっていただけにそちらの品質も非常に心配です。

 

川金HDは何を・どうやって偽装したの?

川金HDが偽装した内容は、基本的にはKYBと同じで、試験データの書き換えです。

川金HDが言うには、免震用オイルダンパーの大臣認定要件である基準値±15%以内と言うのはクリアしており、設計者からの要求である基準値±10%以内をクリアしていなかったそうです。

つまり、性能のばらつきが±10〜15%の間と言う事です。KYBの場合は性能ばらつきの上限がなかったので、それと比べると大分マシですね。

 

川金HDが偽装した理由は?

これは僕の個人的な考えですが、川金HDのオイルダンパーの売りは、「他社と同じ製品をより安く」です。他社と同じ製品をより安くと言う事は、その分のコストカットが必ず必要になるため、試験データの偽装を行なったのだと考えられます。

また、KYBの場合はオイルダンパーの調整を5時間程度でできるのに対して、川金HDの場合は調整に1日かかるそうです。会社の技術力に対して、高すぎる製品性能を約束してしまった事も偽装を行なった原因だと考えられます。

 

安全性は?

オイルダンパーの性能偽装による安全性については、こちらの記事で詳しく説明しています。

KYB(カヤバ)が免震・制震装置の試験データ偽造!そもそもオイルダンパーって何?何を改ざんしたの?安全性は?どうやって交換するの?

 

メーカーの不正が連続しているけど、安全なダンパーメーカーはあるの?

川金HDの偽装申告によって、KYBの偽装で大問題になっている状況をさらに悪化させる事になりました。オイルダンパーは、KYBと川金HDで国内シェアの9割を占めており、その次点が日立オートモティブシステムです。

KYBの偽装発覚によって、本来は代替品となるはずだった川金HDも偽装しており、さらに日立オートモティブシステムは工場移転のため受注停止中です。そのため、現状ではオイルダンパーの代替品は免制震ディバイスのRDTという製品のほぼ一択となりました。オイルダンパーのメーカーごとの特徴は、こちらの記事で詳しく説明しています。

リンク

 

ただし、あくまでも代替品と言うだけであって、免制震ディバイスが試験データを偽装しているかどうかは分かりません。ここについては、会社や担当者の性善説で成立しているため、第3者の検査を義務付けるなどの制度改革が必要かもしれませんね。

 

まとめ

オイルダンパーの偽装をしていたのは許せませんが、他社の不正発覚に便乗して、不正を申告する姿勢が1番許せませんね。KYBはともかく、川金HDは会社全体で偽装を推進してしたからこその低価格だった可能性もあります。

(これは僕の個人的な意見ですが、そもそも川金HDと言う会社に対して全く信頼感がないです。川金HDの他の製品も怪しくて使えたものではないと思います。)