建築小僧の建築ライフ

現役の建築構造設計者のブログです。建築や設計の事だけでなく、建築学生の役立ち情報や就活・転職に関する事を書いていきます。

現役構造設計者が勧めるエクセルでプログラム化すべき計算内容5選

こんにちは、建築小僧(@kenchiku_kozou)です。

 

構造設計の仕事では、計算条件が異なるだけで計算内容は変わらない計算が非常に多いです。

どういう事かと言うと、物件を担当したら、計算条件を整理して、後は決まりきった計算方法に従って計算し、OK・NGを検討する事が多いという事です。

 

メインフレームの計算は電算プログラムを使用するので、入力さえしてしまえば後は自動で結果を出力してくれるので、実は楽なんです。そのため、大幅な変更でない限り、意匠のデザイン・開口の位置などの変更は対応が楽だったりします。

本当に面倒な計算というのは、電算プログラムで計算できない雑物の検討だったり、大枠を知りたいときのざっくり検討なんです。

 

そこで今回は、僕が今までに作ったエクセルシートの中で絶対に作った方が良い計算内容を紹介したいと思います。

面倒な計算を省力化して、設計に多くの時間を使えば、よりクリエイティブな仕事ができるので、ぜひプログラム化してみてください。

 

エクセルでプログラム化するときのおすすめ参考書! 

エクセルで各種計算をプログラム化するときには、「ここの数字を上手く使いたいのにできない」、「あそこの数字を検索して使いたいのに…」など上手くできない事が必ず出てきます。

そんな時には、エクセル関数の逆引き辞典があると、どの関数を使えば良いのか、関数をどうやって使えば良いのか、などが分かるようになります。1冊持っておいても損はないので、検討してみてはいかがでしょうか。

 

現役構造設計者が勧める、エクセルでプログラム化すべき計算内容5選

地耐力計算

基礎形式を「直接基礎」とした場合に必要となる計算です。直接基礎とは、べた基礎・独立基礎・布基礎などを用いて、比較的浅い地盤に建物を支持させる基礎形式の事を言います。

計算自体は難しくないのですが、式自体が非常に長いため何度も計算するのは大変ですし、間違いも起こります。

何度も使うと分かっているのですから、エクセル化して次回以降の計算の手間を省きましょう。

 

杭基礎の支持力・引抜耐力計算

こちらは基礎形式を「杭基礎 」とした場合に必要となる計算です。杭基礎は、支持層となる地盤が深い場合に採用されます。

こちらも計算自体は難しくないのですが、何度も使用する事になるので、エクセル化する事をおすすめします。

また、特に階数の高い建物の場合、地震力によって基礎に引抜力が生じる場合があります。この引抜力は、基本的に杭の引抜耐力(杭の自重や地盤との摩擦力など)で処理する必要があります。

階数の高い建物は引抜力との戦いとも言えるので、この計算も何度も使用します。ぜひエクセル化してしまいましょう。

 

梁ねじれ補強の計算

これは審査機関から指摘される事が多いです。例えば、梁の片側に片持ちスラブが取り付き、反対側にスラブがない場合、梁には片持ちスラブ側にねじられる力が生じます。このような力をねじりモーメントと言いますが、通常の梁の設計には、このねじりモーメントは考慮されていません。そのため、別途計算する必要があります。

この計算はRC基準に準拠して計算する事が一般的で、梁断面だけでねじりを処理するできない場合に、補強筋を追加して処理する方法です。計算方法は2種類あるので、場合によって使い分けられるようにエクセル化するのがおすすめです。

 

梁・柱の断面算定

実際に構造設計をしていると、電算プログラムだけでは表現できない部分が必ず出てきます。その場合は、モデル化できない部分を別途検討するのですが、この別途検討の時に断面算定に使うエクセルがあると良いです。

RCチャートやSチャートなどでも良いのですが、市販品は決まりきった形状しか対応していないので、特殊形状の断面算定は自分でする必要があります。使う時になってからエクセル化するのは時間がかかるので、時間がある時に作成する事をおすすめします。

 

杭の断面算定

一般的な杭の断面算定は、地震時の応力を考慮した短期断面算定しか対応していません。しかし、物件によっては長期的な土圧が作用する場合もあり、長期断面算定が必要となる場合があります。断面算定の方法は、短期と同じなので、このエクセルも時間がある時に作成する事をおすすめします。

 

まとめ

今回はエクセル化すべき計算内容を紹介しました。

本当は紹介した以外にもエクセル化した方が良い計算内容があるので、そちらの紹介も今後やっていきたいと思います。

この記事は、随時更新するので暇な時に覗いてみてください。